倫子さんの本棚

「40歳の壁」の正体とは?モヤモヤを分解する人生戦略

面談を終えて帰ろうとした健一さん(48歳・メーカー勤務の課長)が、研究所の本棚の前で足を止めた。「倫子さん、この本、妻の机にもありました。『40歳の壁』って……壁、僕はもう越えた歳ですけど、読む意味ありますか」。倫子さんは本を手に取り、笑った。「むしろ健一さんの今の悩み、全部この本の話ですよ。座ってください。10分で紹介します」

「40歳の壁」の正体は、危機ではなく「モヤモヤ」
健一さん
健一さん
40歳の壁って、ミッドライフクライシスのことですか。前に倫子さんが言っていた。
倫子さん
倫子さん
近い概念ですが、この本の面白さは「危機」というほど大げさじゃないところです。著者の尾石晴さんは外資系メーカーに16年勤めた後に独立し、音声メディアVoicyのトップパーソナリティとして活躍している方。本書で言う壁とは、仕事も家庭も一応順調なのに、ふと「残りの人生、この積み重ねの延長でいいんだっけ?」と感じる、あの正体不明のモヤモヤのことです。
健一さん
健一さん
ああ……それ、まさに僕が最初にここへ来た日の気持ちです。
倫子さん
倫子さん
そうなんです。私がこの本を勧める一番の理由がそこで、モヤモヤに「名前」がつくこと自体に価値があるんです。名前のない不安は対処できませんが、「これは40歳の壁で、誰にでも来るものだ」とわかった瞬間、自分だけが劣っているわけではないと知れる。健一さんが初回の面談で少し楽になったのと同じ効果が、この本の前半にあります。

今日やること

  • 自分のモヤモヤを「仕事」「お金」「家族」「健康」「自分自身」に分けて、どこが一番濃いか眺めてみる
幸せの土台は3つ——お金・つながり・健康
健一さん
健一さん
で、壁はどうやって越えるんですか。
倫子さん
倫子さん
本書の背骨は、幸せな人生に必要な要素を「お金」「つながり」「健康」の3つに分解したことです。そして大事なのは、この3つが会社員の場合、かなりの部分「会社経由」で供給されているという指摘です。給料はもちろん、日中の人間関係も、生活リズムも会社がくれている。だから定年や役職定年で会社との距離が変わると、3つが同時に揺らぐんです。
健一さん
健一さん
田島さんの話だ……。役職定年で腐ってしまった元部長は、3つとも会社に預けきっていたわけですね。
倫子さん
倫子さん
その通り。私が役職定年の回で話した「社外に居場所を持て」「お金の設計図を作れ」は、この3要素の言葉で言い直せば「つながりとお金を会社以外からも調達できるようにしておけ」ということです。健康を含めた3点セットで棚卸しする発想は、この本の方が体系的ですね。素直に脱帽です。

今日やること

  • 「お金・つながり・健康」それぞれについて、会社に依存している割合をざっくり%で書いてみる
答えは「自分業」——ただし、いきなり独立ではない
健一さん
健一さん
3つを会社以外から調達って、つまり独立しろって本なんですか。
倫子さん
倫子さん
違います、そこがこの本の現実的なところです。尾石さんが提案するのは「自分業」——お金・つながり・健康の3要素を満たせて、やりがいがあり、自分でコントロールできる仕事を、会社員のうちから育て始めることです。定年のないキャリアを自分で設計する。会社を今すぐ辞める話ではなく、収入の柱を複数にする移行のステップが実体験ベースで書かれています。
健一さん
健一さん
それ、複業の回で聞いた話とほぼ同じ構造ですね。
倫子さん
倫子さん
はい。私の言葉で言えば、自分業とは「③複業が育って、4つの出口のどれを選んでも困らなくなった状態」です。この研究所の枠組みに重ねると——①残る人にとって自分業は保険とつながりの供給源、②転職する人には職務経歴書に書ける社外実績、③複業そのもの、④独立の助走路。つまりどの出口を選ぶ人にも効く、共通の下ごしらえなんです。
健一さん
健一さん
40歳の壁の本なのに、48歳の僕にも当てはまるのはなぜなんでしょう。
倫子さん
倫子さん
壁は40歳ちょうどに来るものではなく、「後半戦の入り口で必ず一度立ち止まる」ことの比喩だからです。45歳で早期退職の募集を見た日、50歳で役職定年の通知が視野に入った日。人によって壁の現れる日が違うだけで、正体は同じモヤモヤです。むしろ準備の残り時間を考えると、45歳を過ぎてから読む方が切実に刺さると思いますよ。

今日やること

  • 複業の回で書いた「社内で人に教えたことがあるテーマ5つ」を見返し、3要素(お金・つながり・健康)を満たしそうなものに印をつける
倫子さんの結論——この本を読むべき人、読まなくていい人
健一さん
健一さん
正直、読むべきですか。要点は今聞いてしまいましたが。
倫子さん
倫子さん
はっきり言いますね。読むべき人は、モヤモヤの真っ最中にいる人と、複業や自分業を「始め方の手順」から知りたい人。本書はワークシート付きで、キャリアの棚卸しを手を動かしてやれる作りです。10分の紹介で伝えられるのは骨組みだけで、価値は著者の実体験と手順の部分にあります。逆に、もう複業を始めていて手応えもある人は、確認のための一冊なので優先度は下げていい。
健一さん
健一さん
妻の机にあった理由もわかった気がします。妻も妻で、壁の途中なんですね。
倫子さん
倫子さん
いい気づきです。この本はもともと働く女性の読者が多い本ですが、壁に性別は関係ありません。ご夫婦で読んで、お互いの「お金・つながり・健康」を見せ合うと、お金の回で作った設計図が夫婦の作戦会議に進化しますよ。後半戦は、ここからです。

今日紹介した本

『「40歳の壁」をスルッと越える人生戦略』尾石晴著(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

本記事は書籍の要点を当研究所の解釈でご紹介したものです。詳しい内容やワークはぜひ書籍でお読みください。

この記事の「今日やること」まとめ

0 / 3 完了

  • 自分のモヤモヤを「仕事」「お金」「家族」「健康」「自分自身」に分けて、どこが一番濃いか眺めてみる
  • 「お金・つながり・健康」それぞれについて、会社に依存している割合をざっくり%で書いてみる
  • 複業の回で書いた「社内で人に教えたことがあるテーマ5つ」を見返し、3要素(お金・つながり・健康)を満たしそうなものに印をつける

転職を考え始めたら、まずは求職者登録を

45歳からの仕事研究所は、株式会社SPRINT CLIMB(厚生労働大臣許可 有料職業紹介事業 許可番号 11-ユ-301471)が運営しています。ご登録いただくと、これまでのご経験と希望条件をもとに、担当者が求人をご紹介します。求職者の方から手数料をいただくことはありません。

求職者登録(無料)